2014年09月17日

『パールへの道』12:パール誕生

1作目の『UNGERADE/奇数』は、神経衰弱をベースにしたゲームでした。
ただし、手札を使って仕込みもつくれるので、ブラフ(はったり)の要素もかなり入っています。
カードは6点×5枚、5点×7枚、4点×9枚、3点×11枚、2点×13枚、1点×15枚という、変則的な構成です。が、きれいな等比級ですし、全体で60枚なので2〜6で割り切れます。つまり、各自にきっちり同じ枚数が配られるわけです。作者としては、そのあたりの構成に快感を覚えるゲームでした。
いや、ゲームとしても良くできていますよ。青い街の中では、もっとも安定的な人気があります。


さて、カードゲームの会では前半にいろんなゲームで遊び、後半に『タブラの狼』をプレイするのが通例になっていました。『タブラの狼』は、いわゆる人狼ゲームです。
村人は、まぎれこんでいる狼男を当てることができれば勝ち。逆に狼男は自分たちと同じ人数になるまで村人を減らせれば勝ち、というルールです。村人になれば自分以外の全員を疑うことになるため、とてもドキドキします。一方、狼男になったら正体が隠さなければならないので、やっぱりドキドキ。どちらになっても、心拍数の上がるゲームです。
他のことではあまり味わえない体験と言えるでしょう。芸能人を使ったテレビ番組がつくられ、都内にはプレイスポットもできて、今やテーブルゲームの牽引役になっています。

10人前後で一番楽しく遊べるので、カードゲームの会にはもってこいでした。
ただ、「必ずしも全員がやりたいわけではないのかな?」というのが、主催者としての悩みになっていきます。
前述したように緊張感の高いゲームですし、死んだ人はしゃべってはいけないなど、けっこう窮屈なルールもあります。最初はもの珍しさもあって本当に全員が楽しんでくれていましたが、徐々に微妙な空気を感じるようになっていきました。


『PAAR』は、そんな流れの中で考え出したゲームです。
気持ちを探りあうのではなく、結びつく形にできないだろうか、というイメージが出発点でした。
とはいえ、もちろんいきなり完成形を思いついたわけではなく、最初はトランプの『ナポレオン』のようなルールを考えていました。配られたカードで役が決まり、密かに協力する感じですね。しかし、それでは人狼と同じベクトルです。
それとは逆のことがしたかったのでは? との自問から「最後に結びつく=結びついて上がれる」というイメージができました。そこからゲームにまとめるまでは一気でした。

何かを思いつくのは、ずっと同じ問題を考えていて、そこから一旦離れた時だと言われます。ぼく自身もそんな感じです。ルールを考える時には四六時中それが頭にありますが、その延長線上ではアイデアは出てきません。ふとした時に、ポンッと飛躍する印象です。
ありきたりですが、ひらめくというか、向きが変わるイメージだと思います。


ところで、『PAAR』を最初にテストしたのは、ホームグランドの川崎ではありませんでした。常々一泊してゲームをする「合宿」をしたいと思っていて、ちょうどそれを実施するタイミングだったのです。
宿泊場所は相模湖近くにある桐花園という施設でした。本来は水泳を中心としたスポーツ合宿をやるようなところですが、そこで思い切りインドアな企画を立てたわけです。
あっ、バーベキューなんかもしましたよ。気のあう仲間との充実した時間でした。

さて、テストプレイをしてみると、細かい調整意見をいろいろともらうことができました。最初は手札を3枚にしていましたが、4枚にした方が確率的にちょうど良いとか。
自分だけではつくりきれないところに、カードゲーム制作のおもしろさはあります。『PAAR』を形にできたのは、合宿に参加してくれたみんなが助けてくれたおかげです。
そして、年齢や性別の違う人の集うなごやかさが、やっぱりそこにもありました。
桐花園自体が山の中にあって、自然を満喫できる場所だったこともあるのでしょう。いとことトランプをした父の田舎と印象のダブる、とても楽しい合宿でした。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
さて、次回は「3.11の記憶」です。


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posted by Kazuki at 11:40| 『パールへの道』